bowie note

David Bowieをキーワードにあれこれたどってみるノート。

BOWIE「STRANGE DAYS 3月号」「CD Journal 2月号」

というわけで、この半年ほどで出た雑誌、ムックなどのBOWIE特集、Prince特集を読み比べる、というか、整理しよう企画です。

 

今回は純粋に『★』特集だったこの2冊。

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まず、4月で休刊してしまった『STRANGE DAYS 2016年3月号』(1月20日発売)。 

 ほんとに一文字も足されなかったので、後書きにもどこにも訃報の影なしで、ボウイ特集は20ページ。

ゼロ年代のボウイ」杉山達

  …時系列にそって2000年〜2016年1月8日までのボウイの活動を列挙。最近ファンになった身としてはありがたい。  

「ボウイのイメージ戦略」大鷹俊一

 …時系列にそって誕生からこれまでの「キャラクター」の変遷やスタイルの変化が、本人の「天然と知略」によるものとして紹介。ボウイ一般論って感じ。

「歌詞から考察する『★』」杉山達

 …これはかなりどうでも良い記事です!!!笑

 きっと筆者も「亡くなってからだったらこんなこと書かなかったのに!」と悔やんでるのでは…

『★』解説:大鷹俊一

 …「これからどこまで創作活動を続けるかわからない人に不謹慎な言い方かもしれないが、この最新作『★』はデヴィッド・ボウイ後期を代表する作品になるだろう。」という書き出し。ふつうに模範的なレビューながら、訃報に以前に書かれたという意味では貴重なもの。

「ボウイとヴィスコンティ」鈴木祐

 …アメリカ人であるヴィスコンティとボウイがどう出会って、どんな仕事をしてきたか、の一覧。

「『★』参加ミュージシャンと関連作」廣川裕

 …「新しいジャズの潮流」を担っているジャズミュージシャンを起用したこと、ボウイが制作中「やたらとケンドリック・ラマ—を聴いていた」ことなど。ディスクガイドとして、ブラッド・メルドーとマーク・ジュリアナのデュオ〈MEHLIANA〉の「Toming The Dragon」、マーク・ジュリアナの「My Life Starts Now」、マリア・シュナイダーの「Concerts In The Garden」、Arcade Fireの「Reflektor」を紹介。

 

 

次に『CD Journal 2016年2月号』(1月20日発売) 

CDジャーナル 2016年 02 月号 [雑誌]

CDジャーナル 2016年 02 月号 [雑誌]

 

表紙のボウイの名の下に「1947-2016」が付け足され、さらに「さよなら、デヴィッド・ボウイ」というコピーも。

ボウイ特集は5ページ。

 

デヴィッド・ボウイ、完全復活」小野島大

 …『★』における「違和感」によって、ボウイがロックの領域を広げている、ということ。完成度の高いらしいボウイのデモは、彼がひとりで自分の世界観を統一した作品制作が可能なことを示しているが、そうはせずに、新世代ミュージシャンに演奏させた、ということ。もしライブが行われたら、近年最大のロックイベントだろう。というまとめの後、追悼の言葉が追記。

 

「『★』を支える男たち〜レコーディングに参加したメンバー」

ダニー・マッキャスリン:村井康司

 …彼の率いるマーク・ジュリアナ(ds)、ジェイソン・リンドナー(key)、ティム・ルフェーヴル(b)というレギュラーバンドが『★』の主要メンバー。参照『FAST FUTURE』

Fast Future

ジェイソン・リンドナー:柳樂光隆

 …NYで注目のピアニストとして名を馳せた後、様々な実験的スタイルを試みる「異能」の鍵盤奏者。参照『EARTH ANALOG』

Earth Analog

ティム・ルフェーヴル:村山愛

 …ジャズに限らずスティングドナルド・フェイゲンTOTOなど幅広いミュージシャンのバンドに参加。参照『Matorning』

Matorning

マーク・ジュリアナ:渡辺亨

 …「ジャズとエレクトロニック・ミュージックの感覚が渾然一体となった音楽を構築」。参照『FAMILY FIRST』

Family First[ボーナストラック収録・日本語解説つき]

ベン・モンダー:杉田宏樹

 …30年のキャリアで、最近も新世代ミュージシャンと共演。参照『Hydra』

Hydra [輸入盤]

 

 

ということで、訃報は関係ない『★』特集2冊。

これ以外だと、ネットではこちらの記事が最も詳しかった。

2016年1月8日公開

mikiki.tokyo.jp

 

 

DB vs P

「FIVE YEARS」に続くBOWIEの蔵出し音源?BOX、「Who Can I Be Now? 74-76」の詳細が発表されましたね〜。

持ってる人は持ってる…ということで、なかなか微妙なようです。(私も…)

Who Can I Be Now? (1974 – 1976) details - David Bowie Latest News

 

ただ、「FIVE YEARS」はRemasterだけでも面白かったので、まあ、入手しちゃうんでしょうね…

 

 

さて。

私のPに恋をしている状態は相変わらず続いておりますので、言わないけど、毎日かなりの時間、Pのことを考えているわけで、昨日発売の「現代思想臨時増刊号」も楽しみにしていました。

さっそくいっき読み。

これがボリューム的にも内容的にも満足満足。

面白かった。

私がBowieに比べたらまだまだPrinceのこと、知らないってのもあるだろうけど、読み応えアリ。

 

それで、ここまでのB vs Pの日本の雑誌特集ぶりを比べてみました。笑

 

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Bowieに関しては、2013年の復活劇でけっこう出版物があり、2016年始に『★』が出るということもあって、そもそも、表紙&特集が予定されており、「ストレンジデイズ」は一切加筆なしのまま1/20発売。「CDジャーナル」は急遽加筆し、同日発売。

その後、表紙になった雑誌は3冊(たぶん)。

まるごと特集号ということでは、CROSSBEATがまず、だけど、これは2013年に出たものの頭に追加記事を加えただけのもの(ダニー・マッキャサリンの貴重なインタビューだったけど)。そして「レコードコレクターズ」が過去の特集号のアーカイブを。

純粋に書きおろしばかり、というのは「ユリイカ」の通常号での特集のみ。

 

いっぽうPrinceはもう10年以上、単行本としては何も出てなくて、昨年9月に新書で西寺郷太『プリンス論』が出たのみ。訃報を受けてからは、ミュージックマガジン社のミュージックマガジン。同社においてBowieに関しては「レコードコレクターズ」が特集。これは80年代から同じ分担だった。そして「Guitar Magazine」。「rockin'on」が表紙にしなかったのは納得いってません。笑

あと表紙ではないけど、タワレコbounceもけっこうページさいてくれてた(過去記事を使ってるけど)。

特集号ではやはり最初にCROSSBEAT。ただし追悼号というよりは、もっとさっさと出しておけば…という、ガイド本。それから「ミュージックマガジン」の増刊号。これは後半は80年代の記事のアーカイブということで、Bowieのレココレ増刊号に対応。

そして青土社はBowieが「ユリイカ」で、Princeは今回出た「現代思想臨時増刊号」。

さらに来月はKAWADE夢ムックが出るそう。

KAWADE夢ムック、BOWIEは2013年に出てるので、今回は見送られた様子。

 

2013年にBOWIEの貯金があったため、「どっちが多く特集されたか」ってことで比べると、勝負としては互角、になるでしょうか。

ただ、「論じる」という意味ではBowieの方が論じられ易いかな、と想像していたけれど、今回の「現代思想」を読んで、あら?Prince、題材としてかなりオモロイぞ…と気付きました。

なにより「笑える」ってのが強い。Princeは。

 

 

そんなわけで、メモがわりにそれぞれの特集をまとめてみようと思います。

明日以降…

 

 

 

 

 

Till Dawn

爆音映画祭へ再度。

目当ては『Born To Boogie』!!!

リンゴ・スター監督のT.Rex映画☆☆☆


Marc Bolan - Born To Boogie Movie Trailer..1973

 

いつもなんでT.Rexの音はあんなに厚くてキラキラしてて派手なのかな、と、その秘密を探ろうと耳と目を凝らしたのですが、それはまあボラン自身が厚くてキラキラしてて派手だから、という結論にしか至れませんでした。

ホントの秘密はトニー・ヴィスコンティが知っているのか。

 

 

地球で一番ギラギラした音。


T.Rex - Metal Guru (28-12-72)

 

 

色っぺ!!

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家にあるT.Rexについて書かれたものを読んでると、Bolanはボウイより一年早く、プラスティックソウルをやっていた、という話が。

この曲など、ほんとに始まりはヤンアメ。


07. T.Rex - Till Dawn (1974) (with lyrics).wmv

 

だけどヤンアメと比べると、洗練度が…。

しかしこれはこれで愛すべき曲!!!とても。

 

 

1977年のBolan Show。

この2ショットテレビ出演って72, 3年に彼等のファンだった女の子たちはどんな気持ちで観たんだろう。

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David Bowie & Marc Bolan - Marc Show 28.09.77.

They fell to us and stayed...

神戸爆音映画祭に行って来ました!

『地球に落ちて来た男』

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そして『Sign 'O' The Times

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前者は1975年7月から撮影されたので、Bowie、28歳の時の作品。

後者は1987年5月から撮影されたので、Prince、28〜29歳の時の作品。

 

美しき同い年の2人。

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どちらのDVDも何度も観てますが、Signの方は今回初めて映画館で、しかも爆音で、ということで相当興奮。バスドラが震動で来るくらいの音響なので、家で観るのとは全然違うし、もうほんとずっと顔が笑った状態、そして何度も涙ぐむ(素晴らしすぎて)、という体験で、終わってすぐ「もっかい!」と子供のように叫びました(心で)。


映画『プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ』予告編

 


Prince - Slow Love

 

『地球に〜』の方は、実は先月京都で爆音上映があったので、そちらでも観ており、映画館で観るのは3度目(1度目は20年近く前)。

京都の会場の方が音響は断然良かったけど、神戸は小さい会場なので、映画世界に入り込めてよかった。そしてさすがにこんなに何度も観てると、これまで「ま、カルト映画だしいっか」と思っていた「意味」を考え始めてしまったり。

これから『地球〜』は全国で公開されるので、新しくパンフも作られたので、購入。

あらすじ、書くの大変だったのではないかな。

原作があるからそうでもないのかな。

少なくとも私はこの映画だけ観て「あらすじ」書けって言われたら困る。

パンフには、解説なども載っていて、なるほどなと思ったのは、これは終始「落ちる」映画、「堕ちる」映画だということ。

ネイサンが娘からもらったブリューゲルの「イカロスの墜落」の絵のことなど、これまであまり気にしてなかったけれど、今回、そういう記号一つ一つが「それなりに」気になってきました。それなり、程度なんだけど…。

だってもうそういうことより、あまりに説得力のあるBowieのたたずまいの方が説得力があるから。

 


『地球に落ちて来た男』予告編

 

 

先週出たMUSIC MAGAZINE増刊号の「プリンス〜星になった王子様」ですが、巻頭が湯浅学で、「プリンスはどこにでもいる」という、空気のごとく「いる」ものだったプリンスが「いない」ことが理解しにくい、という書き出し。そして「プリンスは宇宙。だからいつも、いる」という締めくくり。

分かる。

というかむしろ「もっと」いる。

4月21日以降、「存在感」はますます増している。

もちろんBowieも。1月10日以降、ますます、いる。居る。

 

 

 

Look up here, ”So the tears won’t overflow your heart”

あのニュースを聞いた日からちょうど半年過ぎました。

 

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いなくて寂しい、という感情よりも、「彼が生きていたことが信じられない」というような、急にレノンやエルヴィスみたいな、私にとっては「最初から死んでた人」みたいな感覚になってしまうことが多い。

Princeも同じく。

単純に「いつもいた人がいない」という喪失感じゃないところがやっかいです。

 

 


David Bowie: five years (1978)

 

 

 

いよいよもって日本はヤバいので、もう神頼みなどせず、自分で抗わないといけないと思うと、何かはできる気がしてくる。

神様はBowieもPrinceも連れてってしまうぐらいに気が利かないし。

上を向いて歩こおおお 涙がこぼれないようううに

 

 

 

 

 

 

 

 

sun-licked

今週は訳あって、ボウイ史総復習ウィーク。

というわけで、色々探していると、こんな論文(というよりは研究ノート)を見つけました。

 

ナボコフと勘違いの賜物 : デビッド・ボウイに捧ぐ

メドロック皆尾 麻弥

 

英文学論集 23, 12-22, 2016-03-15

 

 

BAKER(佛教大学論文目録リポジトリ)詳細画面

 

ほうほう、I'd Rather Be Highの話だ!と、以前私が調べたことを思い出しながら読む。

ainocorrida.hatenablog.com

 

ナボコフ研究者の筆者は、ボウイの訃報に際して、彼がナボコフの『賜物』を読んでいただろうことを知って、非常に嬉しくなったのだそう。

面白いな、と思ったのは、『賜物』はロシア語で書かれた最後の作品で、英語にはもちろん翻訳されているものの、あまり読まれていない作品であるということ。

へええ!

(日本というのはホント、色んな言葉の文学を日本語で読めるという貴重な環境なので、いくら海外翻訳の売り上げが落ち込んでいても、これを絶やしたらもったいなさ過ぎる!)

しかし、その後、国際ナボコフ学会のメーリングリストの上方から、ボウイは『賜物』そのもの、というより、Otto Friedrichの「Before the Deluge: A Portrait of Berlin in the 1920s」を愛読していており、その中にちょうど『賜物』のこの部分が引用されているのだそう。

 

決してボウイが『賜物』を読んでいないと断言されているわけではないし、読んでいるかもしれない。少なくともこの部分は引用を読んでいるのだし、作品を通読したかしていないかはどちらでも良いのでは?

と、おそらく一般には判断されることでしょう。

でも文学研究者であるこの筆者がここにこだわるのは凄くよく分かる。

(けれど、その後展開される「勘違い」というテーマとは少しズレている気はする…)

 

 


David Bowie // 'Station to Station' Scene in 'Christiane F.'

 

 

 

 

 

 

JUNE

今月はコツコツしてました。

そもそも「1から順に把握したい」欲求が強いので、クロニクルとかリストとか、作るのが偏狭的に好きなので、時系列、いつ、何が、その時裏では、とか整理したくてしょうがない性分…

エクセルで曲目リストをBowieとPrinceと、同時に作ってしまいました。

PはVaultなどを参照して、BowieはPegg本を参照して。

そしたら一応全部把握していたつもりだったBowieにも、まだ「なに?この曲…」ってのが出てくるので、あわてて『hours...』のspecialなedithionをDLしたり。

それに対して、Pは「unreleased」の嵐。そしてけっこうこの数ヶ月でネットに落ちてる。そこで出会ったこの曲に完全に心奪われ…


PRINCE - IN THE LARGE ROOM WITH NO LIGHT #PRINCEMUSIC. #PRINCE WE LOVE YOU

 

気付いたら、Pのブートという別のギャラクシー世界の扉を開けかけ…

 

やばいやばいやばいやばい……

 

 

落ち着こう。


Prince - June