bowie note

David Bowieをキーワードにあれこれたどってみるノート。

SEEDS in KYOTO

また長く空きました。

しかし前回書いたボウイ生誕祭の頃から状況全然良くなってなくて愕然!!

最近出た戦メリLINEスタンプに大島渚の「君たちはなぜ怒らないのか」というのがあるけれど、この言葉がもうずっと脳内ぐるぐるしてる。

 

しかし5 YEARSということで、いろいろと企画はあり、まず4月には鋤田さんのボウイ写真展「 時間〜TIME BOWIE x KYOTO x SUKITA」が京都駅ビル内の「美術館えき」にて開催。

 

f:id:ainocorrida:20210408173922j:plain

 

何気なく見に行ったつもりだったのに、入ってすぐの大きなボウイに見つめられて、早くも胸がいっぱいに。1980年、京都に長く滞在していたボウイに呼ばれてやってきた鋤田さんは、ボウイの運転する車であちこちまわったらしく、たくさん写真が残っており、その場所を突き止めて、巡礼したこともあった。

ainocorrida.hatenablog.com

 

あれから古川町商店街のうなぎ屋さんも閉店し、私が電話ボックスの場所を突き止めた時に目印にした向いの建物も更地になり、三条の桃源郷の店跡もなくなり、ボウイの居た京都の町並みは少しずつ変わってはいるけれど、1枚1枚の写真に「ボウイが京都に居た」ということがすごく感じられ、涙目になった。最近鋤田さんが京都で撮った写真も飾られており、こちらはわざと色を濃くしたと本人が言ってたけれど、デジタルの風合いが妙に不自然で、白黒ボウイ写真との落差が面白かった。

ありがたいことに、招待券をさらにたくさんいただいたので、会期中、まだ何度か行くぞ!と張り切っていたところ、緊急事態宣言のせいでこのmuseumが入っている伊勢丹が休業になってしまい、この展示もまだまだ会期を残したまま閉幕…涙

 

しかしもう1つ。

大島渚の『戦場のメリークリスマス』と『愛のコリーダ』の4K修復版、全国上映!
東京大阪ではいま映画館が休館してしまったせいで、上映が止まっているようだけれど、京都は休業補償対象にならない小さな映画館、京都シネマなので、上映中。

私は初日から少数配られるといる戦メリポストカードを狙って、敢えて大津アレックスシネマの方へ二日目に行ってみたのだけれど、とっくに配布終了していた…。そう、いまシネコンは閉まっているし、他も軒並み閉まっているせいで、ミニシアターがいつもより人が多い感じがしている。とはいえ、50%座席販売などの工夫と、そもそも黙って座ってるだけの映画館、全然OK。これでまたミニシアターまで閉まったら、私、終了…。

f:id:ainocorrida:20210508144351j:plain

 

琵琶湖のほとりで見た戦メリは、最後のハラさんが収容されている場所が実は海の近くで、砂浜のような地面の場所で、終始波の音が聞こえていたことを、初めて強く意識させてくれた。

もう何度も見ているので(上映会も、映画館でも)、教授の化粧に笑ったり、三上寛がボウイをぼこってる!っていうか内田裕也!!とか、そーゆーとこツッコんで笑う段階は終わっていたけれど、いびつで不自然な映画だからか、いつ見ても新鮮。
大島映画の中でMy best作ではないものの、これはやはり奇跡の映画だなあ。
ボウイの役は最初ロバート・レッドフォードに打診していたみたいだけど、ちょっと想像できない。さらにたけしと教授の役は緒形拳滝田栄に決まりそうになっていたけれど、NHK大河ドラマ峠の群像』に出るために降りたとのこと。

(余談ながらいま少年隊にハマっている私は始動したばかりのニッキのファンクラブにもさっそく加入したのですが、昨日、その生配信ラジオで、かつてニッキも『峠の群像』に出たために、レッツヤンのサンデーズは降りた(かっちゃんはそちらに)という話をしていて、時空が繋がった。

 

f:id:ainocorrida:20210509135017j:plain

気づいたら色々戦メリ本が集まっていたので、来週、京都シネマにもう一度見に行くまでに読もう。この映画は製作裏話がすごく面白い。まだレッツダンス前のボウイ、まだ映画監督になるなんて誰も思わなかったたけし、これが映画音楽初挑戦になった教授…当時は、出演が決まった段階、撮影中など、たけしがその裏を伝えていたんだろうなあ、というのを思うと、映画製作自体がお茶の間、ラジオリスナーなど多くの人に見守られていただろうし、いざ公開されたときもセンセーショナルだったんだろうなあ、と想像。80年代の狂騒。

 

戦メリを久しぶりに冷静に見て思ったのは、ハラキリが名誉の日本人は「恥」を恐れる思想を抱き、西洋人は「罪」を恐れているということがわりとハッキリ描かれていて、それはそのままヨノイとセリアズの対立になるのだけれど、その中間地点にいるのがロレンスとハラ。おそらく80年代の観客はきな臭い現在以上に、ヨノイ的な価値観を否定することが当然という雰囲気に生きていただろうし、今の私にしてもヨノイ側に共感するところは1ミリもなくて、1945年を境にひっくり返った価値観の差に改めて驚いたりもする。

まあしかしほんと変な映画なので、いろんなことを言い合えるのが面白い。

 


最後のシーンを描いてみた。

ホントはこのシーンの背景はこんなに広くは映らないのだけれど、キスシーンの前にセリアズが言う「ここは美しい場所だ」というセリフが今回、印象的だったので、広めに眺めてみた。

f:id:ainocorrida:20210508235037j:plain

 

 

BOWIEの撒いた種(戦メリの原作タイトルは"The Seed and the Sower")は、本人が不在でも、京都でしっかり芽吹いてる。