大晦日、紅白は安室ちゃんだけ生で見て泣いてました。
安室ちゃんは90年代の全盛期は自主的に聞くことはなかったし、ライブに行ったこともないけど、独り立ちしてからは気になる存在で、近年はアルバム出るたびにチェックして聞いたりしてて、引退宣言はそれなりにショックで、先日にNHKのインタビュー番組も観てました。
彼女の夢や野望は「歌って踊るのが好き」という女の子が抱く範囲の「普通」のことなんだけど、かわいすぎる容姿やまっすぐな意思と圧倒的な華でスターに押し上げられ、プレッシャーの中でCDの売り上げを伸ばし、そこから一人で自分をプロデュースしろ、と言われて戸惑い、楽しさを見つけてがんばってきたけれど、純粋にやりたいことは時代を読みながら戦略を考えるプロデュースではなくて、「歌って踊る」ことなので、ほんと大変だったんだろうな〜と、いうのが番組の感想。
(岡村ちゃんは完全自己プロデュースしなくては、という思い込みで突っ走ってきて、苦労した果てに、音楽以外はすべて他人まかせ、という今の自由を手に入れて、本当によかった)
紅白で歌った曲はNHKのリオオリンピックの公式テーマ曲になっていた「Hero」。
安室奈美恵「Hero」NHKオフィシャル・ミュージックビデオ
泣いちゃって最後歌えなかった産休復帰後の紅白を生で観ていた記憶が生々しくあるので、どうかしら、と思っていたら、すべてを大事に見事に歌い切ってからの笑顔と涙だったので、ぐっときてしまった…
余談というか、このBLOG的には本道だけど、オリンピックで「Hero」というと、すぐ思い出すのはロンドンオリンピック開会式のイギリス選手団入場で使われた「”Heroes”」(3:04:09くらいから→ The Complete London 2012 Opening Ceremony | London 2012 Olympic Games - YouTube )を思い出す。
というわけで、安室ちゃん、この9月で引退すると、「自由」を得るのかな。
さてさて。
少し前に、なんとなくRobert Wyattブームが個人的にやってきてました。
いろいろ聞きつつ、Enoはともかく、Bowieとは何か絡みはなかったのかな、とググってみると、ほうほう、直接的な話はないけど、2003年にBowieが愛聴アナログレコード25選というのをやったらしく、その1枚が、Wyattのシングル盤だった、というのがわかった。
ボウイが愛聴したアルバム(ヴァイナル盤)×25枚|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)
私がWyattを初めて知った時にはYoutubeはなかったので、こうしてライブ映像が見られるのがとても新鮮。
さて、このシングルが収録されているのはWyattの『Nothing Can Stop Us』(1982)というアルバム。改めてこのアルバムを聴いていて、心奪われたのは、2曲目に入っている「At Last I Am Free」。
これ、Chicのカバーだってこと、初めて知った!!!
「At Last I Am Free」、やっと私は自由に、というタイトル。
Princeにおける「free」はもぉんのすごく究極的に肯定的な意味のある言葉だと思うので、「本当は…」とか裏の意味を疑えないような、絞り出した果てのような、大事な言葉だと思うのだけど、この歌詞ではどうだろう…
ナイル・ロジャースによると、実際はブラックパンサー党の大会で警察に暴力を振るわれる中から逃げ出してきた時の心情を歌っているらしい。
VOL.2 Nile Rodgers | 100年 MUSIC featuring Artist | 100年 MUSIC
"AT LAST I AM FREE"
At last I am free
I can hardly see in front of me
I can hardly see in front of me
I'm lonely, please listen
To what I say
I can't go on
Livin' Life this way
I've tried and I've tried
Oh, to make you see
You call this lyin' my friend
It just can't be
At last I am free
I can hardly see in front of me
I can hardly see in front of me
I'm lonely, please hold me
Come Closer, my dear
It feels so good
Just havin' you near
But who am I foolin'
When I know it's not real?
I can't hide
All this hurt and pain
Inside feel
At last I am free
I can hardly see in front of me
I can hardly see in front of me
歌詞が書かれた動機は複雑だけど、この歌詞だけみると割とストレートな愛の歌。
このリフレインの
「やっと私は自由
目の前がほとんど見えない」
は、以下の歌詞をみると、恋人と別れる際の涙で前が見えない様子のように思われ、自由というよりは、日本語でも「彼氏彼女がいない」という意味で使う「フリー」と同じ意味で受け取ることができる。
そう、この「free」は手放しで喜ばれてはいない。
涙で目の前がかすみながらの、「自由」。
愛が束縛なら、自由に愛はないのか。
自由になんてなりたくない、と、そこまで読み込んでしまったりするのも容易。
と女性ボーカルだったchicでは、こうして下世話な恋愛話をイメージしてしまうけれど、Wyattの絞り出すような声で歌われるver.を聞くと確かに「Free」は「だからこそ」の「にもかかわらず」の「自由」といったような、重さが加わるような感じがする。
Robert Wyatt - At Last I Am Free
なんてことを思いながらBowieの「Lazarus」を再度聞いてみると、「I'll be free」はどんな風に聞こえます?