20年一昔。
10年前のものはダサイけど、20年前のものはかっこいい。
1996年に公開された映画『Trainspotting』(原作は1993年刊行)の中で、イギー・ポップファンの主人公達は、女の子たちには「そのジギー・ポップとかいう人はまだ生きているのか?」と聞かれるけれど、この時点からほぼ20年前、1977年の曲がこの映画を貫く「Lust For Life」。この曲がなければ『Trainspotting』じゃない。
Trainspotting | 'Lust for Life' (HD) - Ewan McGregor, Jonny Lee Miller | MIRAMAX
そして現在公開中の映画、『T2 Trainspotting』。20年後を20年後に同じキャスト・監督で続編とする、という、まさかの試み。
T2: TRAINSPOTTING 2 Trailer (2017) Danny Boyle Movie
おいおい、なんでこんな辛い続編作ってん!!とつっこみつつも、ニヤリとさせられるシーンもそっと挟まってくる。
20年ぶりに自室に帰ったレントンは、「あの曲」を聞こう、とレコード棚を漁る。
2枚のDavid BowieのLPが見えたあと、ターンテーブルに載せられたレコードは最初の音が聞こえた瞬間、針があげられてしまう。
ああ、寸止め。
でも、あの曲だ。
96年の映画ではたくさんのキャッチーな音楽が流れていたし、クラビングをするシーンもあったけれど、レコードで音楽を聴くような場面、あったかな…と不思議になった。
96年でレコード聴くって、だいぶ音楽マニアの行為。普通はもうCDでしょう。
原作を持っていたのでページをくると、予想外にたくさん出てくる音楽についての言及が。どうも原作の舞台は80年代後半?
中にはこんなことも。
「ボウイのアルバムは全部持っている。死ぬほど持っている。海賊版だって山ほどある。だが、ボウイの音楽なんか、いまはどうでもいい。」(アーヴィン・ウェルシュ著、池田真紀子訳『トレインスポッティング』21頁)
うん、おそらくその頃のリアルタイムボウイは「どうでもいい」って思われてたんでしょう。
それはそうと、この原作者以上にガッツリBowieファンだったのが、監督のダニー・ボイル。
本当は映画のサントラには是非ボウイを使いたかったらしいけれど、許可が下りず、Iggy(Bowieと共作)の「Lust For Life」にしたらしいけれど、ほんとそうして良かったよ。あの曲使ってなかったらあんなにヒットしなかったはず。
映画『ベルベット・ゴールドマイン』でもボウイの楽曲使用の許可は下りなかったものの、Lou Reed(プロデュースはBowie)の「Satelite Love」は使われてて、Bowieのコーラスもばっちり聞こえている、という微妙なことが起こっていたのを思い出したけど、代わりに冒頭を飾ったBrian EnoがバッチリハマッテたのでBowieでなくて正解だったんじゃないかしらん。
ダニー・ボイルはBowieの伝記映画制作も本人に却下されていたようだけど、ロンドン・オリンピックではBowieを使いまくってた。
London 2012 Olympic Opening Ceremony.
開会式の"Starman"
London 2012 Olympic Games Opening Ceremony - a bit of British Music, a legacy to the World.
閉会式のBowieコーナー
London 2012 Olympics - Bowie tribute (Closing Ceremony)
これが2012年。『The Next Day』が翌年出るなんて、まだ誰も知らなかった時のトリビュート。この時点でよく「出演」をボウイに打診したなあ、ボイル…
さて、ボイルの2013年の監督作『トランス』でもボウイにまつわる何かが登場していた、ということをこちらのインタビューで知る。
てなわけでさっそく見てみました。『トランス』。
Trance Featurette - Danny Boyle (2013) - James McAvoy Movie HD
なるほど。
本編5:20くらいに「Be My Wife」のイントロメロディーが聞こえます。他にもあるのかな。
とりあえずボイルとボウイを少しだけ掘ってみたけれど、そんなことよりも『2Trainspoting』を見てかき回された心が重い…
20年という経年はToo LongでもありToo Shortでもある。シビアだ。
あまりに相変わらずな奴らと私…。
そろそろ…Chooooooose LIFE !!!!