bowie note

David Bowieをキーワードにあれこれたどってみるノート。

All Is Pretty

以前、『戦メリ』を上映したカフェを畳むと言うので、それなら店主の一番好きな映画である、『バスキア』を見ようよ、と提案。

お店にはいつもバスキアの黄色いポスターが貼ってあったのでした。

(すぐフライヤーとか作ってしまう「ごっこ」好き。「BASQUIAT IS COMING」がそのポスター)

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先に未見だった2010年制作のドキュメンタリー『バスキアのすべて』を見る。

バスキアってこんなに魅力的な顔、表情、姿なのか!

『Downtown 81』は大好きなので何度も見てたけど、あれはむしろバンドのライブシーンの方が印象的で。

モヒカンのバスキア、なんだか若い頃の坂本龍一ぽい。

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 『バスキアのすべて』は、まだバスキアのことをよく知らない身としては勉強になったけれど、そう深く「論じて」いるわけではなく、バスキアの絵ってほんとユニクロのせいで日本では老若男女、文脈も何も分からず身につけてるけど、全然まだまだこれからなんだな、と。ウォーホルはもっと色んな語られ方しているけれど、バスキアは一辺倒な感じだし。それにしても1960年生まれってことはプリンスよりも若かったのか〜〜〜。

 

そして『バスキア』。

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なんともう公開から20年経ってるのですね。

公開当時は印象が薄かったけど、Bowieにハマッてから見直すと、記憶よりもだいぶ悲しい映画だった。それ以来見たわけですが、ドキュメンタリーを先に見たせいで、細かいとこまで「作り手」の気持ちになってしまった。あのエピソードをこうしたか、こう描いたか、と。

 


David Bowie's part in Basquiat Part 2

 

それにしてもヴィンセント・ギャロが出てることに初めて気付いた!!

ギャロのことはだいぶ好きなので、Bowieと並んでるというのは興奮。

 

 

映画を見ていたら、だいぶBowie as Warholも何度か出たあたりで友人の一人が「は!!」とした顔で「これデヴィッド・ボウイやん」と私に言うので、「今気付いたんかい!」と。なかなかバレなかったようでした。笑

一方この映画が大好きな店主の方は、この映画がバスキア、ウォーホル、ボウイを知るきっかけだったらしく、今でも本物のウォーホルより、ボウイのウォーホルの方がしっくりくるらしい。

私のウォーホルのイメージはもっと「かわいい」人なので、Bowieのウォーホルはやはりちょっとクールに格好良すぎるかな、という気もする。けど、これはこれで好きです。

 

このジョナス・メカスの『Scenes from the Life of Andy Warhol』が私の好きな映画Best 10に常に入っており、この中のオフショットなウォーホルがとてもチャーミングなのでした。


Scenes from the Life of Andy Warhol: Friendships and Intersections

 

 

さて。

最近、追悼系雑誌を読み較べていると、BowieとPrinceの存在の違いが分かって面白いのですが、Princeがまだ全然論じられてこなかった(少なくとも日本では)分、どんな切り口も面白いのに対し、Bowieはちょっといま手札を出し尽くしているのではないかな、というぼんやりとした印象があるけれど、その突破口になるのでは?と思うのは、Bowieの「美術」への興味です。

いま、そのコレクションがオークションにかけられるということで注目されているけれど、ちょっとこんなに美術に興味があった「ロック」の人は他にいなかったんじゃないかと、思うので。

とくに『Modern Painters』という雑誌に1994年から1998年に寄稿していた「美術記事」を見ると、そこにはスターのBowieは居なくて、現代の美術作品に本当に熱中している一美術ライターがいる。

http://www.bowiewonderworld.com/art/modernp.htm

 

バスキアについては1996年春号で書いており、とても専門用語も多くて読みにくいながら、なんとか辞書をひきつつざっと読んでみると、幾つか彼なりの着眼点がある様子。

 

This is NOT Black Art, I maintain, and this is not ART, well no, this is STUFF and I like it, yeah, yeah, yeah. This STUFF rocks.

 

と、Bowieはバスキアの作品を「STUFF」と捉えているらしい。

このSTUFFというのをどう受け取っていいのかがよく分からないのだけれど、彼の生い立ちを紹介しつつ、彼がどういった「表現主義」であったかを解く時のキーワードにしているのではないか、という印象。

精読できてないので、誤読かもしれませんが。

80年代、バスキアは黒人ということで「プリミティブ」なアーティストだと理解されていたようだけど、本当は都会っ子だし、実際、その線も色もほんと洗練の極地だと思う。つまり他の色んな画家の作品や、同時代の音楽、映画、広告を知っている人が選んだ線と色というか。バスキアをポップにTシャツや雑貨に使うのはホントにやりやすいだろうし、この映画自体、とても分かり易いし、使われている音楽が誘うセンチメンタリズムもかなりのもんだけど、この映画公開時に、Bowieがバスキアを「アート」のまな板に載せるというむずかしい仕事をしていた、というのは注目ではないかと。

 

 

『バスキア』の音楽を担当したのはJohn Cale

彼がLou Reedとともに86年に亡くなったDorella(ウォーホル)を忍んで行った88年のライブ(1990年にはアルバム発売)。

 


Songs for Drella - Lou Reed & John Cale