インド映画『きっとうまくいく』(2009)は、笑いと涙と歌と踊りと強さと優しさと美しさと可笑しさの入り交じった、すごい映画なので世界中でウケたというのも大変納得。
この映画の中にたびたび現れるモチーフが「自殺」。
競争社会と父権社会から息子が逃れられる方法は「自殺」しかないらしい。
大学の友人が落第をきっかけに命を絶ってしまったらしい光景を遠くから見つけ、その部屋へ駆けつける主人公たち。スローモーションで開けられるドア。カメラが部屋の内側に切り替わると、ドアに貼ってあった「Rock'n' Roll」と書かれたジギーなBowieのポスターが一瞬だけ映り、そしてすぐにドアを開けて驚く主人公たちの顔。首を吊っている友人の姿。
自殺者が部屋に貼っていたポスターは、「Suicide」を持ち出すための皮肉な記号。ジギーは本当は「you are not alone」と歌っているのに…。
一方、後半でまた自殺を図った別の友人は一命をとりとめた後、仲間たちの献身的な介護で見事復活する。