ほぼ2ヶ月でBowieのオリジナルアルバムを一気に集めて聴いたので、どこかの時代に思い入れがあるor思い出があるということもなく、好みに従って好きなものは何度も繰り返して聞いており、やはり名盤と名高いだけのことはある…と納得しまくった『ジギー』と『ハンキードリー』は神棚にあげておくとしても、『Let's Dance』まではどれもほんと面白いのだけれど、それ以降は食指が伸びないものもあったりはする。
という感じなので、長年のファンにとっては10年待望の!突然の!と驚きだったであろう『The Next Day』すらも、私の中では『Heathen』『Reality』と肩を並べている。
どれも好きだけど、とくに好きなのは、と言われたら、『Heathen』だ。
Bowieの全キャリアを通してみても、Bowieに限らず好きなCDというだけで考えても、このアルバムはだいぶ好き。
Bonus Track付きなのにBook Offで500円で買ったの、ほんと申し訳ナイぐらい、聞くほどにどんどん好き!
私が述べるまでもないけれど、一応概要を述べておくと、60年代に書いた曲をもう一度とりあげるアルバム『TOY』のレコーディングをすすめていたBowieが、急にEMI・ヴァージンから「新曲でアルバム」を、と頼まれたため、 レーベルを離れ、新たに作ったのがこの『Heathen』。プロデューサーは『Scary Monsters』(1980)以来のトニー・ヴィスコンティ。
この『Heathen』の中で最も美しい曲(と思っているの)が、『TOY』では「Uncle Floyd」というタイトルだった「Slip Away」。これは子ども番組「Uncle Floyd Show」のフロイドおじさんとキャラクターのOogieについての歌。
「懐かしさ」によってキラキラ彩られたもののことを歌っているけれど、過去はもう居場所は与えてはくれず、彼らはただ温かい気持ちだけを想起させて立ち去っている。Slip away。美しさというのは、どうしても永遠ではないことの悲しさとリンクしていると思うのだけれど、この曲の美しさもその例なんだと思う。
ライブでのこの曲は最高だろうなあーー。
「70年代にIggy Popと一緒にこの番組を見てたんだ」、なんてMCされてから歌われたら、それだけでもう…(涙)