bowie note

David Bowieをキーワードにあれこれたどってみるノート。

BOWIE「レコードコレクターズ 3月号」、「ミュージックマガジン 3月号」

今日はミュージックマガジン社が出している2つの看板雑誌それぞれが表紙&特集でとりあげたBowieとPrince。

もともと「レコードコレクターズ」は「ミュージックマガジン」の別冊として出たので、棲み分けがはっきりしているようで、80年代からBowieはレココレ、PrinceはMMで、という感じだったかと。

追悼号もしかり。

 

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まずはレコード・コレクターズ3月号 (2016年2月15日)

 

訃報が日本に伝わったのが1月11日なので、それから36日後に発売。

表紙が凝ってて、★が隠れてます。

75ページの大特集!

 

「最後の伝説の扉を自らの手でみごとに閉じた、"地球に落ちて来た男"」大鷹俊一

「ロック界が初めて出会う、自己の死と対峙し、作品化したアーティスト」として、ボウイの死という「ニュース」の経緯、およびボウイ史概論。

 

「デイヴィッド・ボウイ"私の一枚"」

赤尾美香『LET'S DANCE』:18歳で36歳のボウイに恋をしていた。

ECD『CHANGESONEBOWIE』:77年2月の「地球に落ちて来た男」公開がファンになって以来最初の最大のイベント。

市川紗椰『hours...』:ジギーではまった小6時に初めて聞いた時は嫌いだった。

奥田英朗『ALADDIN SANE』:ロック・レジェンドらしくドラッグでも飛行機事故でも自殺でもなく、ガンという普通の死に方だったいう衝撃。

岸野雄一『YOUNG AMERICANS』:黒人音楽への冷徹な対象化とぬぐいされない愛着

志摩遼平『ZIGGY STARDUST』:このボウイの"やりくち"に心酔し、なぞってきた。

高橋靖子『HEROES:革ジャンエピソード

土屋昌巳ZIGGY STARDUST』:リアルタイムのあのとてつもない衝撃

ピーター・バラカン戦場のメリークリスマス:声が好みじゃない。映画のロケの思い出。

湯浅学『hours...』世阿弥の「離見の見」。浮遊感。

ROLLYDAVID BOWIE(SPACE ODDITY)』有近真澄氏の見事な日本語詩。

 

「『変身』と表裏一体をなすリアルな音楽的衝動」サエキけんぞう

この特集全体でもっとも面白かった記事。サエキさんの文体が冴え冴え。NHK FMで「今日は一日ボウイ三昧」が行われる際の司会はサエキさんでお願いします!

「『演じる』ことで始めたくせに、生命のすべてを映すことになった楽曲群」から10曲を再検証。

スペイス・オディティ:圧倒的なこの曲の個性は、マイナーとメジャーの混在により、「宇宙の暗く孤独な側面と、宇宙船に太陽が当たったような展望の瞬間を混在させていること」。

〈チェンジズ〉:華のあるメロディの魅力は生涯随一。

〈5年間〉:ジギーというアルバムの評価はこの曲野リズム構造のオリジナリティのせい。

〈ジーン・ジニー〉:グラムのギラギラさ。

〈ヤング・アメリカンズ〉:ボウイの歌唱という異能が結晶している。

ワルシャワの幻想〉:実験結果が失敗したらリリースしないという約束だったほどの実験作。

〈ヒーローズ〉:「ドロっとした狂気」と「骨太な黒人R&B的3リズム」、イーノ&フリップの混ざった破壊力。

〈レッツ・ダンス〉:「ここ一番のメロディ・センス」。

〈ハーツ・フィルシー・レッスン〉:「シーンと格闘する硬質な意志」。

〈★〉:全文素晴らしいです。(涙)

 

再掲インタビュー「ジギー・スターダストはロスにウッチャッてきたよ」インタヴュ—ワー:坂本龍一(1979年2月号)

なんと戦メリ以前のインタビュー!!貴重。

 

「デイヴィッド・ボウイ・ヒストリー」赤岩和美

 

「京都を愛した親日家としての素顔」岡田敏一

正伝寺を尋ね、CM撮影の経緯を紹介。

 

David Bowie 1970s Memories」写真:鋤田正義

 

「遺作という意味を越え、吹っ切れた鮮やかさが残る意欲作」安田謙一

初めて全米1位を獲得したアルバム『★』の全曲解説。

 

『★』のLP+リトグラフ

 

「デイヴィッド・ボウイ・ディスコグラフィ〜オリジナル・アルバム」小野島大

 

「日本盤7インチ・シングル・ギャラリー」常磐響

 

「デイヴィッド・ボウイ・ディスコグラフィ〜映像作品」吉村栄一

 

以上、盛りだくさんの特集。

 

同日発売の「ミュージックマガジン」も特集が読みたくて買っていたので、Bowie追悼記事も付いてきました。3月号(2月20日発売)。 

 

4ページの追悼記事。

「追悼デヴィッド・ボウイ」志田歩

(いま気付いたけど、レココレは「デイヴィッド」で、MMは「デヴィッド」表記なんだ)

『★』の見事さ、発売日に発表された写真の明るいスター性、「実は…」を知った時に誰もが容易に感じとれた彼の闘いの過酷さと雄々しさ。

 

「特集●新世代ジャズ・ドラマー」

『★』が如何に「新しい」音楽だったかを立証するためにも、この特集がこのタイミングで出た意味は大きかった。

 

 

というわけで、ホントはMMのプリンスも書こうとしてたのですが、予想以上にレココレのボウイ特集がボリュームあって、無理です!

また次回。

 

それにしても半年経って、だいぶあれかな、と思って始めたこの「追悼特集メモ」ですが、どうにもこうにもBowieのことに関しては今もすぐ涙が出てしまう。