bowie note

David Bowieをキーワードにあれこれたどってみるノート。

I’m set free to find a new illusion

Brian Enoの新作『The Ship』が出ました。

ブックレットには、EnoがBowieの死去1週間前に交わしたメールの、Bowieの署名「Dawn」にちなんで、「to dawn」という献辞があります。

Enoの音楽は外で聞くのが好きなので、川辺とかでぼんやり聞こうかな。

 

話題なのは、Velvet Undergroundの「I'm set free」をカバーしていること。

こちらで聞けます。

 

I'm set Free

(Songwriters: LEWIS ALLEN REED, LOU REED)

 

I've been set free and I've been bound
To the memories of yesterday's clouds
I've been set free and I've been bound

And now I'm set free
I'm set free
I'm set free to find a new illusion

I've been blinded but
You I can see
What in the world has happened to me
The prince of stories who walk right by me

And now I'm set free
I'm set free
I'm set free to find a new illusion

I've been set free and I've been bound
Let me tell you people
What I found
I saw my head laughing
Rolling on the ground

And now I'm set free
I'm set free
I'm set free to find a new illusion

 

イーノは新たな幻影を見つけるために、わたしは自由になるというフレーズに25年越しに感銘を受けて、この曲を選んだのだそう。

ちょうどこの1週間一番考えていたキーワードは「free」。

頬に「SLAVE」と書いたあの人が一番大事にしていたもの。

ベルリンの壁崩壊などで、「我々」は「自由」を得たような、そんな印象をがつんと子供の頃に持ってしまったため、およそ無自覚に生きてきたけれど、この最近の国政の「自由と民主の剥奪」が進むことによって、考えを改めないといけなくなっている。

自由とは好き勝手にすることではない。

政治や社会における不自由さだけが問題なのではない。

この曲の歌詞には

「The prince of stories who walk right by me

And now I'm set free

(物語の王子様が僕の側をぴったりと歩いている

そしていま、僕は自由になる)」

というフレーズがあって、もちろん「The」が付いているので、あの人ではないのだけれど、このように、新たな幻影を見つけるために自分を自由にしようとするとき、側を歩いてくれている、そういう存在だったように、いま、このタイミングだから、強く思う。

 

「懐かしい」という感覚をあまり大事と思っていない私は、BowieにもPrinceにも、(ちゃんとその素晴らしさと出会ったのが最近だという単純な理由があるけれど)「懐かしい」という感情が一切ない。

もちろん過去の思い出を持っている人のことは歯ぎしりするほど大変羨ましい。

私の人生にも「小学生の頃にPrinceのポスターを部屋に貼って両親から心配された」みたいなエピソードが欲しかった。

とくにPrinceに関しては、「入社したばかりで研修中だったのにいきなり会社が倒産した」みたいな境遇にあるので、まだ「ありがとう」なんていう感情は沸いてこない。

 

ただ、こういうのを見聞きすると、「ありがとう…」とつくづく思う。

 


D'Angelo ft. Princess: Sometimes It Snows in April

 

Dは

I often dream of heaven and I know that Tracy's there
I know that he has found another friend
Maybe he's found the answer to all the April snow
Maybe one day I'll see my Tracy again」

のTracyという部分をPrinceに変えて歌ってくれた。

 

 

そしてツアー中の岡村ちゃんも、4月24日、そして28、29日の弾き語りコーナーで同じく「Sometimes it snows in April」を歌ってくれたのだそう。

 

Princeがいなかったら、岡村ちゃんもD'Angeloも、今の私もいなかった。

love, it isn't love until it's past」

ホント…

 

 

なんて思いながら、ユニクロ×ルメールのスリッポンを買ってきて、ずっと企んでいた靴を作りました。

「I Can't Give Everything Away」シューズ。

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そして机の前にはこんなカードを貼った。

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メメントモリ

I'm set free.